いろいろ書くだけの日記みたいな

いろいろなこと書きます。いろいろと閲覧注意

今後の記事についてメモ

ためていた感想記事のアップがようやく終わりました。

今後の記事アップについてですが、最近また映画館行ったのでそれらの感想を書いていこうかなと思います。

 

で、既に観た最近の映画が

エマニュエル

ビーキーパー

となっています。なんですかこれ正反対のような組み合わせは。自分でも「なぜ~?」とか思っちゃいました。でも興味持ったから観に行っただけです。今月中には感想記事上げます。気力があれば!

 

で、今月は物凄く楽しみにしている映画があるんですよ。絶対観に行きます。それが…

トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 

これですね。あまり期待値上げないように抑えているのですが!現時点で、今月…いや今年一番楽しみにしている映画です。こちらも、気力があれば今月中に感想記事上げます。

 

あともう少し先になりますが、Thunderbolt Fantasyの最終章も観なければ。このシリーズ本当に衝撃的な作品でした。布袋劇を知るきっかけになりましたし。ちょっとまだ4期の途中なんですけど、映画公開前には全部観ます。感想はだいぶ先になるかな?

 

…という予定ですが、あくまで予定です。マイペースに記事アップしていきます。

映画感想:オッペンハイマー

【注意】

この記事では、「当時観た感想」と「いま思い返してみれば…な感想」が混ざっています。 また、かなり個人的感想が含まれていますので、念のため閲覧注意です。そして文章長いです。

 

 

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映画館で2回鑑賞しました(2024年3月と4月)

日本人にとってはかなりデリケートな内容なだけあって、アカデミー賞作品賞をとったものの日本ではそんなに宣伝されていないような気がしたのですが違っていたらすみません。今はアマプラとかで観られるようになったからこのタイミングで観た人もいるかと思います。

 

この映画、大作なんですよ。上映時間は3時間という事前にしっかりとトイレ行く必要あり&鑑賞中無暗に飲み物飲めない長さ。また、「この映画はオッペンハイマーの生涯を描いている」と簡潔に述べられますが、話の内容はかなり濃厚です。予習必須ですね…。普段はあまり情報を入れないで映画を観るので、1回目はいつものように予備知識をあまり入れないで鑑賞してしまいました。この映画を十分に理解するには予習が必要と感じたので、オッペンハイマーをはじめとした人物、時代背景等について大方予習した上で2回目は鑑賞しました。1回目よりは理解できたかなと思っています。鑑賞前にパンフレットを読んでも大丈夫じゃないかなと。むしろ予習になるのでは。あと時系列が切り替わるのはあまり気になりませんでした。ただ、この映画は大きく2つのパートに分けられていて、更に時間別の描写があると知っていれば混乱は起きないと思いました。

オッペンハイマーの人生、特に苦悩といった心情が「音」を通じて表現されているのが印象的でした。常に緊張感のある音です。特にトリニティ実験は息をするのを忘れるくらい緊張感のあるシーンでした。爆発した瞬間は息遣いだけ、そしてその後に爆風の音。これは忘れられないシーンです。また、原爆投下の後にオッペンハイマーが人々に賞賛されるシーンの音も印象的です。歓声が聞こえなくなる瞬間…。

 

原爆を作る過程、マンハッタン計画として進められていきますが、観ていて非常に複雑な気持ちになりました。ナチスドイツの計画を恐れたことから始まるのですが、降伏後は日本に降伏させるために研究・開発が進められる。原爆を作らなければという使命感や焦り、科学者たちが真剣に話し合う、トリニティ実験の結果に喜ぶ人たち、原爆投下後の人々の賞賛等々…。あくまでオッペンハイマーの生涯を描いている訳ですから、投下された側ではないことは分かるんですけど、私も日本人ですから。戦後生まれですが複雑な気持ちです。あと、日本のどこに投下するか話し合うシーン、本当にあんな感じだったんですかね。あの会話を聞いて唖然としたのですが、腹立つ人いてもおかしくない。

ただ一つ述べておきたいのですが、原爆投下の惨事(被爆地の描写)をしっかり描かれていないという意見に対しては私は疑問を持ちます。この作品は、あくまで「アメリカ」や「オッペンハイマー」の立場で原爆や戦争について描かれているからです。彼は投下後の報告でその惨事を知ることになり、後悔をする。視点がしっかりしている映画なんです。もし惨事の描写を入れるのであれば、彼が見た報告の内容を映像でも見せるくらいでしょうか。原爆投下の惨事を描いて、伝えるのは日本人であるべきだと思います。アンサーとしての作品を日本人が作り、全世界に公開することで伝えるべきだと考えますよ私は(山崎貴監督とクリストファー・ノーラン監督の対談動画にも、そのような話は出ています)。ただ私は映画監督ではないので、どなたかお願いいたします…。

 

公聴会聴聞会のシーンは「人が話す」という部分が大半。オッペンハイマーをはじめそれぞれの人物のその後について描かれていたり、あらゆる人物の思惑や気持ちが入り乱れています。原爆開発後どうなったかを知るには非常に重要な部分ですよね。個人的に1回目は特にここが予習不足だったと痛感した所で、2回目は予習したこともあり混乱はしなかったです。冷戦、水爆開発、赤狩り…、そんな時代のなかで、各登場人物の…なんといいますか、ドロドロとした感情や思惑が渦巻いていて「うわぁ…」ってなりました。レッテル貼りって嫌だなぁ…。しかも結構劣勢なんですよ。絶望的すぎる。そんな中でも妻であるキティの存在って大きいなぁと個人的には思いました(彼女の存在の大きさについてはこの場面だけじゃないですが…)。

 

最後の、オッペンハイマーアインシュタインに言った言葉は恐ろしすぎる。そりゃそうですよ。長年開発を進めてきたものが、世界を破壊しかねる恐ろしいものなんですから。そして実際に作ってしまった以上、全世界を破壊する連鎖反応が起きる可能性が生まれてしまった。あまりにも絶望的すぎる。現在でも全世界の破滅の可能性をはらんでしまっている。現代を生きる我々も、その恐怖を忘れてはいけない。

(恐ろしい言葉といえば「ほぼ0」も怖い。だってこれ可能性が全く消えていないんですよ?誰も安心できない)

 

久々?に大作を観ました。数々の賞を受賞しているだけあります。「観て後悔しなかった」映画でした。

 

余談ですが、私はこの映画2回ともIMAXで観ていません。観た方がよかったですかね…今でも考えてしまう程。ただ1回目の時点で緊張感で心臓止まりそうな気分だったので、IMAXなら気絶していたかもしれません…。

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今回はこれでおしまい。

映画感想:ぼくのお日さま

【注意】

この記事では、「当時観た感想」と「いま思い返してみれば…な感想」が混ざっています。 また、個人的感想が含まれていますので、念のため閲覧注意です。

 

 

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2024年9月に、映画館で鑑賞しました。

別の映画を観に行った時に予告編を見て、なんか良さそうと思い鑑賞を決めました。前知識はあまり入れなかった状態での感想です。

 

強く印象に残り、観て良かったと思える映画でした。

何気ない日常から少しずつ変化していく様子がとても良かったです。作品全体が繊細で、映像も綺麗で、終盤まではゆったりとした気分で観ていました。そう、終盤までは…。

 

田舎町のスケートリンクから始まるこの物語。アイスダンスの練習をする3人の様子が見ていてとても良くてですね…。段々と3人の距離感が近くなっていくのが、なんだか鑑賞しているこちらも良い気分になってくるんですよ。ちなみにタクヤ君の友達も良いキャラしているんですよ~!

この多幸感が心地よくて音楽や映像、登場人物の動きや表情がもっと好きになるんです。そして「この幸せな時間がずっと続いてほしい」「このままでいてほしい」という気持ちになるんです。

しかし、この気持ちは終盤で打ち砕かれます。コーチのプライベートの姿を偶然見てしまったさくらちゃんのあの言葉。この言葉から今まで積みあがっていた幸せが崩れ去っていく。終盤はに悲しい気持ちで映画を観ていました…。今までのあたたかい幸せな気持ちから、スーっと冷め切っていくような。この映画、どんな展開でも自然に動くから逆に恐ろしく感じます。

これ、さくらちゃん悪くない。というか誰も悪くない。まずさくらちゃんはまだ子供で、コーチの好意の対象とかを理解しきれないだろうし配慮した言葉も言えないですよ。彼女はコーチのこと気になっていた様子だったし、コーチが恋人と仲良くしている所を見てショックを受けたのも仕方がない。次に、この物語って時代的にはちょっと昔だということが推測されます。現在はLGBTQという言葉や同性愛の知識等が知られてきていますが、この物語の時代はそこまで浸透していないと思われます(もっというとフィギュアスケートの認識も違う)。本当に不幸というかなんというか…。あの一言が残酷なレベルできつく、悲しい言葉なんだけど、誰が悪いとか責められるべきとかは無いんですよ。だから余計に辛い。

次に辛かったのは、コーチの恋人の決断。地元に一緒に引っ越して、新しい生活を送ろう!ってなって幸せだったのに、終盤のコーチの気持ちを察してあの発言をする…。良い人すぎるというかなんというか…優しすぎない…?

最後、タクヤ君とコーチがキャッチボールをするシーンで謝罪するのも辛かった。タクヤ君の初々しい恋を応援しようとしたけど、皆が傷つく結果となってしまった。善意からのこの結末はやるせない…。

映画の最後。タクヤ君は、さくらちゃんにどんな言葉を言ったのか。本当に気になる終わり方でした。でもこの終わり方で良かったかな…。少しでも良い方向に向かえばいいな。コーチは遠くに行ってしまったけど…。

 

好きになることは悪いことではないのに…。多幸感と残酷さを同時に味わうことになる映画です。

作品自体は繊細で、物語の流れも自然なのですが、静かな衝撃があるといいますかそんな力を持っている作品だと思いました。

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今回はこれでおしまい。

映画感想:どうすればよかったか?

【注意】

鑑賞した後、勢いで書いたものを少しずつ修正した、鮮度高めの感想です。ネタバレ注意です。

また、個人的感想が含まれていますので、念のため閲覧注意です。内容が内容なので文章はかため、長めです。

 

 

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2024年12月鑑賞。YouTubeのおすすめ動画にこのドキュメンタリー映画の予告編が出て、その内容が気になり鑑賞を決めました。公開して間もないことや、話題になっていること、席の数が少ないミニシアターで公開されていたことがあってか劇場内は満席でした。

 

統合失調症という名前は知っているものの私の周りに実際に発症した人は(恐らく)いないので、今回のドキュメンタリー映画で初めて、統合失調症を発症された(と思われる)方の、生の映像を観るということになりました。発症の原因は今現在も明らかになっていない。つまり誰にでも発症する可能性はある訳で、大事なのはやはり「発症した後、どういう対応をしたらよいか」になると思います。

現在は効果的な治療方法があり、完治とまではいかなくても症状が緩和することは見込まれます。その為、何かおかしいなと感じたら精神科に行くのは間違った判断ではないと思います。ただ、現在も精神疾患の方に対する偏見は存在しますし、精神病棟では患者を虐待する事件も起きています。このことから、病院に行くことを拒む人がいるのも事実です(それでも「私は」、一度は病院に行った方が良いと思っています。素人よりプロに任せた方が、幾分かは良いと思いますから)。

監督のご両親は娘さんが精神疾患とは認めず、入院や通院はさせないと判断しました。これは、その時代の精神科や精神疾患の見方やご両親の考え・想いから決断されたことであり、病院に行った方が良かったのではと思いながらも、第三者の私が簡単に「こうしたらよかったのでは」と言える立場ではありません。監督の、ご両親に対する訴え(病院に行かせること)は対応として間違っていないし、お姉さんを家に閉じ込めるという判断は「それはちょっと…」と正直思いつつも、ですよ。

 

個人的に印象に残っているのは4つ。まずは監督(弟)の呼びかけに無反応なこと。ここまで反応が無いのかと驚きましたが、お姉さんがどう思っていたのか、分かるはずもありません。少し反応があった時に監督が「ありがとう」と言ったのも印象的でした。2つ目はお姉さんが単身でアメリカに行ったこと。この行動自体に驚きを隠せないのですが、その行動に対してご両親が(映像の中では)怒りの感情を出していないことにも驚きました。いや、実際に保護された時には怒ったかもしれないですが、思い出話に近い状態で話すものですから。3つ目はお姉さんの怒号や叫び声。最早何も言えず。観る・聞くことしか出来ない状態なのです。ここまで至ってしまうのかと思いました。

そして4つ目が受診後の様子です。といいますか…本当に「ついに」なんですよね。南京錠をつけてまで閉じ込め、受診を拒否し続けて25年もかかっている訳ですから。

受診し、入院もして薬を処方してもらうのですが、お姉さんに少しずつ変化が訪れているのが目に見えて分かるのです。監督との会話が出来るようになっているのは大きな変化だと思いますし、なによりピースサインもする。イベントでお買い物したり花火を見たり…外出できるようになったのも大きな一歩です。治療前とのビフォーアフターが分かります。同時に、自分の娘を見守るご両親だって年をとるのに、受診せずにそのまま生活していたらどうなっていたんだろう…と不安になりました(実際、母親に認知症の疑いが出た時は「あぁ…」となってしまいました)。結果的に、受診したこと自体はよかったのではと思います。

 

最後に。父親が自分の判断について答えた時、改めて「これは第三者が介入できないものだ」と感じました。それと同時に「どうすればよかったか?」という問いが出てくる理由の一つにもなるのかなと思いました。第三者の、個人の勝手な想像に過ぎませんが、親という存在・立場や時代の違いから、確固たる想いがあったのではと。それを動かすことは監督(息子)でも困難だった。お姉さんを受診させるのに時間がかかったのも、その想いが阻んでいたのかもしれないのではと。でも、どんな想いがあったとしても、お姉さんの一生がこのようになったことは変えられない。だから「どうすればよかったか?」という問いが生まれる。

 

精神疾患は珍しい病気ではなく、むしろ「いつ、誰が発症してもおかしくない」ものです。また、統合失調症に関しては前述した通り明確な発症の原因は分かっていません。自分の家族が同じような状況に陥ったらどう対応したらいいか、この映画は考えるきっかけになるのです。監督が長年撮影したこの記録は、決して無駄にすべきものではありません。

 

※パンフレットは購入して良かったです。「ディレクターズ・ノート」と「姉と、家族と」は必見です。

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今回はこれでおしまい。

ドラマ感想:全領域異常解決室

明けましておめでとうございます。今年最初の記事はこちらです。

 

【注意】

もう完結したドラマですが一応ネタバレ注意。

また、個人的感想が含まれていますので、念のため閲覧注意です。

 

 

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6話まで観た時の感想はこちら

nantonakutadano.hatenablog.jp

 

あー終わっちゃいましたゼンケツ。前回「5話で化けた!」とか述べて、この展開は忘れられないなぁ…とか今でも思っていますが、全話を観て「この令和の時代にこういった作品を観ることが出来て良かった」というのが率直な感想。SPECみたいな感じは(前回も述べたように)確かにあって、こういったドラマは年に1つはあっても良いよね…とか思いました。…良くない?さすがにネタ切れる?

7話以降は最初の頃の話とはガラっと変わった、神様を巻き込む戦いになっていきましたね。ほんと人間って怖いよね。心無いんだわ。私も人間ですけど。

話が進むにつれて、神様の時の雨野さんの行動が明らかになっていって「めっちゃ頼もしいお方だ…」って思いました。頼りたい上司ですね。あと新しい登場人物(神様)がどんどん出てきたのも良かったですね。ヒルコの正体も実際の日本の歴史に存在する人物で、そういった日本神話や歴史を基にしているのが自分の好みに合っていたのかな。全話飽きることなく観られました。登場人物みんなキャラが良かったなぁ。神様の中では芹田さん結構好きなんですよ。ほんと献身的で応援したくなるキャラです。味方サイドで一番退場してほしくないキャラでした。もちろん全員退場してほしくないんですけど。そして荒波さんかっこいいね。滅多に表に出ない熱い想いがあって、良いキャラをしている人でした。

あ、あとですね…最終回、あれはなんですか?わざわざ京都から来て…ってまだ出てくるの新しい登場人物!キャラ的にも良すぎるんですけど。本当に最終回なんですかね…?最後も続きがありそうな終わり方するし…。次の相手は二宮さんかな?

Twitter(現:X)で色んな考察があったのも楽しみの一つでした。私がざっと見た時は「結構無理矢理じゃない?」みたいなものは無くて、どれも面白い考察でした。

 

だからね、情報過多な状態なんだからこれ第2シーズン作るべきですよ。勿体なさすぎる。京都の方々もがっつり関わってもらいましょう。

こういうお話、めっちゃ需要がある訳じゃないかも&挑戦的な内容かもしれないですが、私は欲しいですこんなドラマ。可能な範囲で…。

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今回はこれでおしまい。

今年もマイペースに記事を上げていきます。

今後の記事についてメモ

気付けばもう2024年も終わりですね。

というわけで今後の記事についてメモします。

今月予定だったものもありますが、気力が…。

 

感想記事のアップ予定リスト(順不同)

【映画】

ぼくのお日さま

オッペンハイマー

どうすればよかったか?

 

【ドラマ】

全領域異常解決室

 

気力があれば来月にアップします。

 

また、今後も面白そうだと思った映画とか色々観る予定です。今気になるのは下記の映画です。

トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦

 

あとは何か気になる話題とかあればな感じです。

今後もマイペースで色々述べます。

それでは、また来年。

映画感想:関心領域

【注意】

この記事では、「当時観た感想」と「いま思い返してみれば…な感想」が混ざっています。 また、個人的感想が含まれていますので、念のため閲覧注意です。

ラストシーンについても言及しています。

 

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2024年5月に、映画館で鑑賞しました。

なんだか奇妙といいますか、ただものではない雰囲気を出している映画だなというのが初めの印象です。

そういえば、この映画はアカデミー賞の国際長編映画賞と音響賞を受賞しているんですよね。音響賞…確かに。鑑賞した後だと受賞した理由が分かります…。

 

まずこの映画には物語性は無いに等しいです。「アウシュビッツ収容所の隣に住んでいる家族」の映像をただ観ることになるのですが、この映画はかなり不気味で恐ろしい映画でした。正直アート的な作品なのではと思う程。

この映画が始まる時から、その異様さを感じることになります。最初「機材トラブルかな?」って思ったんですけど違うんですよね。この時点で聴覚を意識することになる。で、映像が映し出されるわけなんですが…。

まず「視覚」について。先述の通り観ているものは家族の生活なんですけど、隣の建物(収容所)で煙が出ている。残酷なことが起きているんですけど、それでもメインで映し出されるのは家族の生活なので、視覚的な意味では隣の建物に意識が向かないようになっている(と思われる)。

次に「聴覚」について。この映画においてはこっちが結構意識する所といいますか、重要な部分だと思っています。家族の会話とかを主に聞くわけなんですけど、こっちの方がむしろ違和感が出てくるかなと思います。銃声とか叫び声とか聞こえるんですよ。でも観ているものは家族の生活で、その人たちの会話も聞くわけですから、段々脳みそがおかしくなっていく。感覚がマヒしていく感じ。

また、残酷な出来事を重点的に聴覚に訴えかけるシーンがあり、この瞬間が非常に恐ろしい。「隣で起きていることを忘れるな」と言われているかのような感じ。
自分が観ているものは、ほとんどが「とある家族の生活」だからこそ、この違和感や不気味さは増していく。というか普通に生活しているの怖いよ…。でもラストに進むにつれて、家族の中で違和感を感じる者も出てくるんですよね。隣で起きている事に対する恐怖というか異常さというか。

 

で、この映画で最も印象的、かつ重要なのはラストシーンでしょう。扉が開かれ、掃除を始める人が出てくる。ここで「ん?」となったんです。「この時代にネームホルダーってあるんだ…え?」と最初は思ったのですが、掃除をしている場所が明らかになると、時代がまったく違うことを理解する。
このシーンが最も「隣で、当時の時代で何が起こったのか視覚的にはっきりとわからせる」部分なんですよ。恐ろしすぎる表現の仕方だ…。今までマヒしていた感覚を、一気に目覚めさせる。ある意味催眠解除だ。

映画を観終わった後も、すっきりしない感じが続きました。というかこの映画はすっきりしてはいけないと思いますが。これ、事前にあらすじを見なかった場合はどんな感想だったんだろう…。

 

…と、ここまで私の感想なんですけど。鑑賞したほかの人はどう感じたんだろうって気になった作品です。観る人によって、関心を持つ範囲が異なるだろうなぁって。「どのくらい、その時に行われていた残酷な出来事に関心を持てるか」を問われる。

これ本当に異様な作品ですよ。物語のある社会派映画ではない。ドキュメンタリーでもない。前述した通り、最早アートに近いと思います。物語的な意味で面白さを求めてはいけない。実際面白い映画ではないですが、観る価値は十分にある映画です。

 

因みに、さくっと調べてみたのですが、名札の起源は第二次世界大戦中と言われていて、主に兵士が軍服に縫い付けていたそうで。でも現代のネームホルダーのようなものではないですよね。ネームホルダーが見えた時に少し混乱したの、今でも忘れられないなぁ…。

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今回はこれでおしまい。